ペネトレーション

欠陥の状態

ペネトレーション現象とは、鋳物に砂が固着することで、これによって鋳物の表面が粗くなり、清掃の手間が増えるか、または不良品が出ることになります。表面の粗さは、使用されている鋳型の基本材料の平均粒半径よりも深くなります(鋳型の基本材料の平均粒半径よりも粗さが深くないものとはきわめて対照的になります)。

この欠陥は、すべての砂型プロセス(特に生砂プロセス)で製造された鋳物に、材料が何であるかに拠らず発生します。これは特に鋳型材料が激しく過熱された部位、例えばエッジや湯口付近、鋳型材料の圧縮が不足している部分、ならびに肉厚な鋳物などで観察されます。しばしば、鋳物全体に発生します。鋳物を肉眼で見て確認できます。

鋳型材料が浸入してきた金属の溶湯と化学的に反応しなかったとき、ペネトレーションと言われます。これは、本来のペネトレーションとも言われます。浸入してきた金属の溶湯が鋳型材料と化学的に反応した場合は、焼き付き(砂の焼き付き)と言い、また焼結あるいは焼着とも言います。

原因

本来の(機械的/物理的)ペネトレーションの原理的原因は、溶湯の静的な圧力、注湯の際の動的な圧力、凝固時の晶出圧力です。

考えられる発生のメカニズム

砂型はその充填率に応じて、一定の細い空洞が連続しています。金属と鋳型材料との境界面に、溶湯の静圧力、鋳型材料の毛細管力、ぬれ、および金属の表面張力とのあいだの均衡状態が生じます。注湯時に溶湯が鋳型表面の砂粒に当たり、鋳型の表面の境界面張力とペネトレーション圧力(溶湯が砂粒の最上部の層を抜けて浸入してくる際の限度値)との間に均衡状態が生まれるまで、溶湯の静圧力の作用のもとで、鋳型表面の粒子間に浸入します。その結果、鋳物の表面が粗くなります。

ペネトレーション圧力に対して拮抗する境界面張力は、鋳型材料の毛細管力(主として多孔性により)、鋳型表面のぬれ、および表面張力の影響を受けます。Fe-Cベースの鋳造材料の境界面張力は、比較的高い値に達します。この張力の高さは、主に、合金の主となる成分、Bi、Pb、P、Siなどの境界面で活性を持つ元素などの影響を受けます。Ce、Na、ジルコンなどの添加によっても、境界面張力は著しく上昇します。

溶湯は、自身がぬらした鋳型表面の砂の構造部分に、さまざまな強さの要因(表面粗さ、ぬれ深さ)を形作ります。ぬれ深さは、ペネトレーション圧力、鋳型材料の砂粒径、孔径、砂粒の密度が大きいほど、および境界面張力が小さいほど、高い値を取ります。鋳型表面のぬれ角度およびぬれ性は、ラストラスカーボン層が形成されることによって根本的な影響を受けます。

凝固した鋳型材料の孔径は、第一に砂粒の構造(粒の大きさ、粒度分布)、添加剤(粘結剤、添加率、イグロス)、圧縮強さ(充填密度)および鋳型材料の焼結挙動によって決まります。

表面の粗さが鋳型材料の砂粒半径よりも大きくなったか同じであるときに、ペネトレーションと言います。すなわち、表面が粗いと判断するか、ペネトレーションであると判断するかは、鋳型材料の砂粒の大きさを考慮して初めて可能であるということになります。


ペネトレーションは次に挙げる影響要因によって発生する可能性があります

  • 砂粒が大きすぎる場合、および鋳型材料の粒度分布が幅広すぎる
  • 粘結剤および塗型剤の含有率が少なすぎる
  • ラストラスカーボンの含有率が少なすぎる
  • 注湯温度が高すぎたり溶湯の静力が高すぎたりするときに、鋳造材料の化学成分が不適切である
  • 鋳型または中子の充填が不十分および不均等である
  • 鋳造方案が不適切で、そのために鋳型および中子の部分が著しく過熱される