すくわれ

すくわれとは、鋳物の外殻部形成の際に発生する、鋳物表面に金属が不規則に突出した状態のもので、ほんの数ミリの厚さで大抵は鋭い端部を持ち、鋳物本体としっかりと固着しています。すくわれは、蓋状すくわれ、すなわち上部の水平な鋳型内壁の部位に発生するものと、底部すくわれ、すなわち溶湯の流れの下、鋳型の底部に発生するものとがあり、それらを区別しています。

この鋳造欠陥は、ベントナイトを使用している生砂の鋳型を使って鋳込まれた、あらゆる鋳造材料の鋳物において発生します。すくわれは特に鋳物の上部(鋳型の最上部)に発生しますが、鋳型の底部にも発生することがあります。鋳型の、充填密度の高い部位に、この欠陥が現れる危険があります。すくわれとともに現れるものに「脈状絞られ」(特に中子部分)と「ベーニング」があります。これらの欠陥はすべて肉眼で確認できるもので、通常は不良品となります。

ベントナイトを使用した鋳型の場合の典型的な欠陥


球状黒鉛を含む鋳鉄の鋳物表面に浮き出したすくわれ(生型の湿態引張強さ 0.16 N/cm²)。


脈状絞られ

湿態引張強さの向上によって、砂の膨張フィールドをなくし、すくわれや脈状絞られの発生をうまく抑えることができます。湿態引張強さ(N/cm²)(図下の値を参照)の向上によって、欠陥の発生頻度が明らかに減少します。

ベーニングも外殻部形成の際に発生しますが、これは切れることはなく、シリカサンドが膨張した結果、鋳型のキャビティに入り込みます。中子の切れ目に入り込んだ溶湯が、植物の葉脈(vein)のような形状の突起を形成します。ベーニングは、中子に合成樹脂が使用されている際に形成されているのが確認されています(一般的にはこれもすくわれと呼ばれています)。

原因

溶湯による熱の作用(放熱、熱伝導)が、鋳型材料を膨張させます。その結果、鋳型の各ゾーンの温度差によって応力の差が生じ、危険レベルにまで達します。この応力の差によって、鋳型表面または鋳型内壁の層に影響が現れます。

圧縮応力と引張強さ

シリカサンドの膨張によって、とりわけ573℃におけるβシリカサンドへの可逆的変態の結果、鋳型の表面層に圧縮応力が発生し、これが欠陥の発生へと導きます。高温に熱せられた鋳型の表面の砂粒と、その奥にある比較的低温の砂粒の間の境界層に、引張応力が生じます。型砂が剥離してはならない場合、この応力は鋳型材料に吸収されなければなりません。生砂型の引張強さ、すなわち、湿態引張強さは、砂型表面が盛り上がるか剥離するかして、それによって脈状絞られ、ベーニング、あるいはすくわれが形成されるかどうかを決定する要因です。

圧縮応力と湿態引張強さの商は、すくわれが形成されるかどうかを大まかにはかる尺度となります。

 圧縮応力と、鋳型内壁(鋳型材料)の成形性および下層との接着力、すなわち下層の鋳型材料の層の湿態引張強さとは、反対に作用します。機械的および熱的な負荷(応力)が、成型性および接着力を超えると、下の表に記載され説明されているような欠陥が形成されます。

 こうして、鋳型表面の凝縮領域から、そこに圧縮応力が発生し、鋳型の壁面に亀裂を作り表面を持ち上げるように働いたことの結果として、表面にすくわれが発生します(a)。この過程は、一般では殻の形成と呼ばれています。ベーニングもまた殻の形成によって発生します(b)。このとき、殻は破れることはなく、鋳物の表面に尾根のように盛り上がったすじ傷が現れます。この脈状絞られを取り、鋳物を不良品にしないようにするには、かなりの手間をかけて後処理を行う必要があります。底部すくわれは、鋳型のキャビティの湯が流れる下の位置に、すなわち鋳型の底部に発生します。原因は、この場合も殻を形成する凝縮領域にあります。砂の殻が鋳型の底部と繋がっている場合は、めくれ上がった殻の端部によってすくわれかベーニングのどちらかが発生します(C)。それとは逆に砂の殻が盛り上がり、その上を流れて行く溶湯の負荷によって破れた場合は、鋳物の底部に典型的な底部すくわれが発生します(d)。