自硬性バインダー技術

ASKケミカルズは長年にわたって自硬性鋳型造型技術の開発をリードしてきました。当社の自硬性法開発者としての歴史は、1970年代に、鋳造業界に革命をもたらしたフェノールウレタンの自硬性バインダーシステム、PEP SETTM、の市場導入をはるかに遡ります。実際、自硬性バインダー技術の歴史は、ほとんどの場合、当社の開発者に行き着きます。これこそが、現在市場に存在するすべての自硬性バインダー技術について当社が有する卓越した技術力および専門知識を証明するものです。

PEP SETTM
PEP SETTMは、恐らく自硬性バインダー市場において最も信頼できる名称であると言えるでしょう。その卓越した品質ならびに高度に制御可能な硬化反応で良く知られるPEP SETTMは、長年にわたり自硬性バインダーのスタンダードとしての地位を占めてきました。実際、自動化された造型ライン(ローラーループあるいはターンテーブル)にPEP SETTMを適用すると、十分に硬化した鋳型が90秒以内に造型可能です!造型スピードの速さ、適用範囲の広さ、そして使いやすさは、PEP SETTMをあらゆる鋳型造型においても、明らかに理想的な自硬性バインダーであることを物語ります。

特 徴

予測可能かつ再現性のある硬化時間
優れた可使時間/抜型時間比
中子や主型の高い強度
砂再生が容易 

 

PEP SET QUANTUMTM
PEP SET QUANTUMTMバインダーシステムはPEP SETTMバインダーが持つ高い強度特性を保ちながら、混練時・鋳込み時における臭気とガス発生量の低減(図1参照)を目的として作られました。

特 徴

大気汚染物質の発生が少ない。
臭気と刺激が少ない。
注湯時の煙が少ない
低温の砂を使用しても、低粘度のため
高い硬化性能と充填性が得られる。
フリーフェノール・フリーホルムアルデヒドが微量なため作業環境と廃棄砂の問題が少ない。
鋳型寸法が精度良く安定している。

                         現行PEP SET                                         PEP SET QUANTUM

   図1 1000℃,1分間燃焼後、ビーカーにテストピースを投入 1分後の写真

PEP SETTM 5000 シリーズ
アルミニウム合金鋳物用ウレタン系自硬性バインダー

PEP SET 5000シリーズは、米国アシュランド社によってアルミニウム合金鋳物用に開発された、超速硬性バインダーで崩壊性の極めて優れています。 当社はASKケミカルズ社との緊密な協力のもとに、わが国での要求に合わせたバインダーの改良、技術サービスに努め、軽合金鋳物に特にマッチした本製品で、省力化、生産性向上のお役に立っております。

特 徴

可使時間と抜型時間のバランスが優れ、さらに鋳型表面と内部が同時に硬化し、硬化に際し水のような副生成物を伴わない。
特殊な造型機を必要としないので造型設備費が安い。
生型砂への影響がないため、従来から多く使用されているCO2型や油砂に代わる高速造型バインダーです。
常温硬化のため高い鋳型寸法精度が得られ、製品鋳物の品質が向上します。
鋳込後の砂崩壊性にすぐれ、型バラシおよび砂の再生が容易です。


バインダーの種類と物性
PEP SET 5000シリーズはPART IとPART IIの2液から成ります。

使用方法
 PART I・・・・・0.5~1.2% BOS
 PART II・・・・・0.5~1.2%BOS

使用砂の種類, 樹脂の添加量により鋳型強度が異なります。
気温および砂温により鋳型強度および可使時間が異なります。
PART IとPART IIは原則として50:50の割合で使用します。


砂混練

混練はどのようなタイプのミキサーでもできますが、高速回転で混練効率の高いミキサーを推奨します。
混練はPART Iを加え30秒~2分、その後PART II (5230)を加え30秒~2分行います。
造型及び硬化

混練砂の型への砂込めは、手込め、ジョルト、バルブレーション、ブローの各方式が
採用できます。

可使時間と抜型時間は、PART Iのグレード(5110, 5125, 5140)を変更して調整します。


MYCURETM
アルミニウム合金鋳物用自硬性バインダー

MYCURETM (YX-204A / YX-204B)は,軽合金鋳物用自硬性バインダーとして開発されたビスフェノールAウレタン系バインダーです。 YX-204AはビスフェノールA樹脂、YX-204Bはポリイソシアネートから成り、3級アミンを触媒とした3液型自硬性バインダーです。

特 徴

鋳込み後の鋳型の崩壊性が極めて良好です。
寸法精度よく、鋳肌の良好なアルミ鋳物ができます。
鋳型砂の再生使用が可能です

FNB-2/フランバインダー
 「FNB-2シリーズ」は、フラン自硬性型のバインダーです。フラン自硬性型は、 有機自硬性バインダーの中で最も広く使用されているものです。このバインダーは、フラン樹脂とスル ホン酸を混合すると硬化する性質を利用して鋳物砂を固める鋳型造型システムです。

特 徴

低窒素タイプ(ハイフラン)であり、鋳鋼・鋳鉄に適しています。
樹脂添加量が少なくてすみ、樹脂の粘性が低いため混練砂の流動性が良い。
鋳型の保温性が良いため押し湯の節約ができる。
注湯時のガス発生量が少ないため、ガス欠陥が少ない。
型ばらし時の鋳型の崩壊性が良い。
砂の再生性が良いため、再生の歩留まりが良くなる。
従来のフランに比べ、高強度バインダーになっています。

ASKURANTM  CHEM-REZTM  BERANOLTM
酸硬化自硬性バインダーには、フラン樹脂およびフェノール樹脂の2種類があり、広範囲な用途に使用されています。ASKURANTM、CHEM-REZTM、BERANOLTMの3種類がありますが、いずれの製品も、砂の物性や関連分析値により、どのような鋳物のサイズや金属の種類でも鋳造可能です。

長 所

鋳肌が良好
硬化速度の調節が可能
強度が高い
型ばらしが容易で離型性抜群


ASKURANTM RS 
ASKURANTM RSは、低イオウ含有量の酸硬化フラン自硬性バインダーです。このバインダーシステムは、鋳造品の品質向上と生産性向上のソリューションであると同時に環境的にも有益に作用します。ASKURANTMRSは、鋳造工程の最適化に有効な特殊な化学物性を備えたバインダーシステムです。

特 徴

二酸化硫黄(SO2)の発生を削減
機械再生砂中の残留イオウ分が少ない
環境汚染および不快な臭気の発生が少ない
球状黒鉛鋳鉄の球状化阻害が少ない
鋳物の生産性向上

Chem Rez TM 630シリーズ
あらゆる種類の金属、とりわけ鋳鋼用として、また、鋳型サイズを問わない鋳型造型の自硬性ソリューションです。この、エステル硬化型水性自硬性バインダーはほとんどの鋳造工程で使われています。水性であることから、取り扱い上の制約が少なく、また溶剤系バインダーで発生する鋳造欠陥もほとんど発生することはありません。この自硬性バインダーには、第2成分として液状エステル硬化剤が使用されます。ASKケミカルズのエステル硬化剤は最も種類が多く、これにより生産性を広範囲に調節可能です。このようにChem-RezTMは、大型鋳物、特に鋳鋼鋳物の鋳造には最適なバインダーシステムであると言えます。アルカリフェノール自硬性鋳型の砂再生に関しては、他の自硬性鋳型砂と比較すると問題が多く、より細かな再生プロセス制御を必要とします。幸いにも、ASKケミカルズは鋳造に関するあらゆる問題を克服するために、業界をリードする技術サービスをご提供します。

特 徴

広範囲の硬化速度に対応する硬化剤の選択が可能
環境に優しい有機バインダーシステム
鋳鋼の生産に最適

Chem Rez TM 3000シリーズ
水ガラス自硬性バインダー

米国アシュランド社が開発に成功した製品で、珪酸ソーダ(水ガラス)と組合わせることにより、従来の自硬性バインダーがもつ種々の欠点を解決することができます。
無毒の液状有機物質であるため、取扱い上特別の注意を払う必要がありません。また混砂の流動性も良好で、回分式ミキサー、連続式ミキサーのいずれも使用できます。
硬化速度の異なる製品を用意しておりますので、可使時間と抜型時間を広範囲に選ぶことができます。

特 徴

砂混練時に悪臭がなく、また粉じんの心配もありません。
混砂の流動性が良く高密度の中子や主型がえられます。
ガス発生量が極めて少なく、特に窒素は全く発生いたしません。
中子や主型の寸法安定性が良く、また熱間強度もすぐれております。
ベーニングや、すくわれの欠陥が少なく鋳肌もすぐれております。
使用方法事例
 珪酸ソーダ(水ガラス)・・・・・4.5%
 Chem Rez 3000・・・・・10%BOB

珪砂にChem Rez 3000を加えて1分30秒間混練し、これに珪酸ソーダを加えて1分30秒間混練する。砂の種類によって砂型の強度や硬化速度が異なりますので、使用される砂について最適のバインダー量、硬化剤量をご決定ください。またご使用になる珪酸ソーダのモル比は2.7前後(粘度500cps位)のものが最適ですが、気温、砂の種類によりご決定下さい。